2025年7月15日から YouTube パートナープログラム(YPP) の「反復的コンテンツ」ポリシーが**「Inauthentic Content(非オリジナル/本物でないコンテンツ)」**へ改称され、
AI やテンプレートで大量生産された低付加価値動画は 収益化対象外 であることが明確化されます。【本エントリのポイント】
- AI禁止ではなく“低品質・大量生産”排除
- 人間の独自性・ストーリーテリング があれば AI 活用自体は容認
- 違反常態化で 広告制限 → YPP 除外 → アカ停止 も
- 今こそ オリジナリティ+複数収益源 で差をつける
ポリシー変更の背景と概要
- 発表日:2025年7月9–10日に公式ヘルプフォーラムとクリエイター向けブログで告知 (support.google.com, support.google.com)
- 施行日:2025年7月15日(全世界一斉) (indiatimes.com)
- 変更点の要旨
- ポリシー名称を「Repetitious」→**「Inauthentic」**へ変更
- **「大量生産・テンプレート・低付加価値動画」**は明確に広告不可
- AI使用そのものは問題ないが、“人間による独自価値” の追加が必須
- 段階的ペナルティ:動画単位の広告停止 → チャンネル除外 → アカウント停止 (techcrunch.com)
変更点早見表
旧 | 新(2025年7月15日〜) | 詳細 |
---|---|---|
Repetitious Content | Inauthentic Content | 「人間の付加価値がない大量生産動画」も明示 |
収益化不可の基準 | やや抽象的 | AI量産・TTS読み上げ・無断切り抜きなど例示が追加 |
罰則 | 動画の広告制限 | チャンネル全体の YPP 除外まで段階化 |
“非オリジナル”と判断される具体例
代表的な NG 例 | 理由 |
---|---|
AI 音声+ストック画像スライドを 1 日数十本自動投稿 | 変換行為のみ/独自性なし |
TTS 朗読で記事を読み上げただけ | 教育的変形がない |
他チャンネル映像を切貼り+ChatGPT 要約テロップ | 二次創作ではなく単純転載に近い |
同テンプレ・BGMだけ異なる動画を量産 | 視聴者スパム判定、反復的 |
OK になり得る例
- AI 生成映像+自作台本&撮影裏話を加えたドキュメンタリー
- 引用映像に批評・解説・パロディなど二次的創作性が明確
- AI で背景生成し、最終編集・演出は人間が実施 (eweek.com)
AI量産型コンテンツの収益化を制限の影響分析
YouTube収益化制限された後の勝者と敗者
勝者 | 理由 | 敗者 | 理由 |
---|---|---|---|
顔・声出しで独自視点を語るクリエイター | 競合減で CPM 改善期待 | 自動化“顔出しなし”チャンネル | 収益源を失うリスク |
AI を補助利用する本格プロダクション | 効率は保ちつつ差別化可能 | 外注量産スタジオ | 再編集コスト増 |
広告主 | ブランドセーフティ向上 | 低品質キュレーションサイト | トラフィック流入減 |
市場とクリエイターに与えるインパクト
AIや自動化ツールの普及で生まれた“量産型チャンネル”は、YouTube全体の再生数の数%にすぎないものの、広告主から「ブランド毀損リスク」として繰り返し問題視されてきました。今回のアップデートは、こうした低品質枠をアルゴリズムだけでなくポリシー面でも明示的に排除する初の大規模施策です。
- 広告主サイドのメリット
-
CPM(広告単価)の底上げが期待できる。ブランドセーフティ向上で“プレミアム枠”に資金が戻りやすい。
- 視聴者サイドのメリット
-
検索タブ・ホームフィードからスパム動画が減り、エンゲージメントが高いクリエイターにアクセスしやすくなる。
- リスクを抱える層
-
自動音声+スライドショーの多言語ニュース、著作権ギリギリの切り抜きチャンネルなどは収益源がほぼ消滅。人件費ゼロに近いビジネスモデルは立ち行かなくなる。
今後6〜12か月で、AI生成だけを売りにする「匿名・顔出し無しチャンネル」が淘汰される一方、AI×人間のハイブリッド型スタジオが台頭すると見ています。編集・脚本・検証を人が担い、制作パイプラインだけAIで高速化する形です。
※私の勝手な予想ですので、ご了承くださいね・・・
クリエイターが今すぐ取るべき 5 ステップ
既存動画を棚卸し
テンプレ量産動画を非公開 or 再編集。
“人間の手”を可視化
ナレーション・企画意図・メイキングを盛り込む。
スクリプトを差別化
AI叩き台+体験談・批評・データで肉付け。
AI使用の開示フロー整備
YouTube Studio の「Altered content」チェックを忘れずに。
収益源の分散
メンバーシップ/物販/外部プラットフォームでリスクヘッジ。
なぜ“今すぐ”動くべきか
今回の規約は「7月15日以降にアップロードした動画のみ対象」とは明記されていません。過去動画であっても審査再判定のタイミングで広告が外れる可能性があります。
- アルゴリズムの再学習が進む前に既存動画を調整すれば、検索順位やおすすめ枠からの急落を防げる。
- ポリシー違反の警告は段階的とはいえ、最初の「動画広告制限」を受けると再審査→返金不可でダメージが大きい。
- 収益源の多角化やナレーション追加には準備期間が必要。早期に着手するほど新ポリシー移行の“空白地帯”で視聴者を獲得しやすい。
AIクリエイター向け実践アクションプラン
ハイブリッド制作を徹底する
AI生成の映像や画像を“素材”と割り切り、自分の声・表情・解説を重ねて独自性を強調。Bロールとして活用する発想が近道です。
舞台裏コンテンツ・プロセスを物語化する
メイキング映像や失敗談をShortsやコミュニティ投稿で共有し、プロセスの透明性を示す。「どのツールで何を試し、どこで失敗したか」をあえて公開すると、視聴者は制作の裏側を疑似体験できます。結果よりストーリーが評価される時代です。
ストーリーテリングの強化
単なる情報列挙に留まらず、体験談・一次データ・感情を織り交ぜて視聴者を惹きつける。
AI使用の透明性を担保する
説明欄や固定コメントにツール名・手動工程を記載し、YouTube Studio の「Altered content」チェックも忘れずに。開示=ブランド信用という視点が今後のスタンダード。
収益モデルを複線化する
広告収益だけに頼らず、メンバーシップ、スーパーサンクス、デジタル商品の直販、外部サイト・オリジナルサイト連携などをミックス。プラットフォームリスクを分散させる設計が不可欠です。
コミュニティを“自分の資産”に変える
YouTube以外のSNSやメールニュースレターでファンと直接つながり、規約変更に左右されないエンゲージメント経路を確保しましょう。
よくある質問(FAQ)
AI で生成しただけの Shorts も対象?
はい。Shorts でもオリジナリティがなければ収益化不可です。(support.google.com)
自分の過去 Live を切り抜くのはセーフ?
自分のコンテンツであっても、新しい編集・解説がないと広告制限される可能性があります。
Policy 違反で削除された収益は返ってくる?
いいえ。削除済み広告収益は還付されません(公式ヘルプフォーラム回答)。(support.google.com)
まとめ
- AI禁止ではないが**“人間ならではの価値”**が不可欠。
- 量産テンプレ頼みのチャンネルは方針転換を。
- 逆に言えば、AI活用+クリエイティブこそ新時代の勝ちパターン。

まずは既存動画の棚卸しと、ナレーション追加から始めましょう。
参考文献
- YouTube ヘルプ「YouTube channel monetization policies」 (support.google.com)
- YouTube Community Help Thread “Response to creator questions about YPP policies” (support.google.com)
- YouTube Shorts Monetization Policies (support.google.com)
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